2021年10月2日のオープニング・コンサートを皮切りに,いよいよショパン・コンクールが始まります!
大好評の予備審査課題曲ランキングに続き,1次予選の課題曲選択ランキングをお届けします!
2021年10月2日
2021年 ショパンコンクール 1次予選課題曲ランキング【エチュード】
ショパンのエチュードは,どれも演奏時間が2~3分の小品ですが,演奏者の実力が如実にあらわれるため試金石といえます。
エチュードは予備審査と1次予選で違う課題曲を選択しなければなりません。
予備審査での選択率と比較して大きな変動がありました!
なお,エチュードが課題曲となるのは予備審査と1次予選だけですので,
コンテスタントたちのエチュードの演奏が聴けるのは1次予選まで,ということになります。
エチュードa
- 「選択人数・選択割合」は1次予選参加者87名が選択した割合です。
うち9名は過去の実績により予備審査が免除され予備審査には参加していません。 - 「予備審査選択率」は予備審査参加者151名が選択していた割合です。
予備審査では選択率1位だったOp.10-8の選択割合が減り,全体的に選択割合の差がなくなりました。
Op.10-1の選択割合が大幅に増え,このカテゴリーでは抜きん出て演奏の難しいOp.25-11とOp.10-1を多くのコンテスタントが選択しており,挑戦的な姿勢を感じます。
エチュードb
- 「選択人数・選択割合」は1次予選参加者87名が選択した割合です。
うち9名は過去の実績により予備審査が免除され予備審査には参加していません。 - 「予備審査選択率」は予備審査参加者151名が選択していた割合です。
このカテゴリーでは,というよりもショパンの作品の中でも一際「難曲」として有名なOp.25-6の選択割合が大きく増えました。
コンテストタントたちの意気込みの感じる選択割合です。
2021年 ショパンコンクール 1次予選課題曲ランキング【ノクターン】
ノクターン(およびノクターン風のエチュード)は,予備審査と同じ曲が選択できるため,選択率に大きな変動はありませんでした。
- 「選択人数・選択割合」は1次予選参加者87名が選択した割合です。
うち9名は過去の実績により予備審査が免除され予備審査には参加していません。 - 「予備審査選択率」は予備審査参加者151名が選択していた割合です。
ノクターンカテゴリーの課題曲選択ですが,予備審査と違う曲を選択したコンテスタントは12人。
1次予選参加者87名のうち,予備審査を受けたのは78名ですので,そのうちたったの15.4%しか課題曲を変更しなかったことになります。
84.6%のコンテスタントが予備審査と同じ曲を演奏することになります。
5年に一度しか開催されないショパンコンクールは年齢制限もあり,ほとんどのコンテスタントにとって,ショパンコンクールに参加できるのは生涯に一度きりとなります。
どうせならこの大舞台で色々な作品を弾いてみたいと考えそうなものですが,そうでもないようですね
審査員や聴衆も,各参加者の色々な演奏を聴いてみたいでしょうが,コンクールへ向けて演奏を仕上げるのは大変ですからね。
なるべく準備する曲数を少なくしたいというのは理解できます。
メロディアスなエチュードもノクターンカテゴリーに入れられていますが,ノクターンを選択しているコンテスタントがほとんどです。
そんな中,ノクターンであるにも関わらず予備審査では圧倒的に選択率の低かったノクターンOp.37-2ト長調ですが,とうとう1次予選では選択者がいなくなってしまいました。
Op.37-2はエチュード並みに弾きにくい音型が続き,しかも演奏をまとめにくい構成の作品で,コンクール向きの曲ではなく,コンテスタントが避けるのもうなずけます。
でも,せっかくですからOp.37-2の演奏も聴いてみたかったですね。
Op.48-1,Op.62-1が多くの参加者に選ばれていますが,ノクターンの中でも高い構成力や表現力が問われる作品で,作品の深い理解が必要です。
この2曲は選択率がほぼ20%で,5人に1人は同じ曲を演奏することになり,必然的に演奏を比べられることになります。
このことが審査結果にどう影響するのか注目です。
2021年 ショパンコンクール 1次予選課題曲ランキング【バラード・舟歌・幻想曲・スケルツォ】
ショパンの大作です。予備審査と同じ曲目を選択できますが,予備審査では課題曲にスケルツォがありませんでした。
大作カテゴリーは予備審査,1次予選,2次予選と連続で課題曲に指定されています。
- 予備審査;バラード,舟歌,幻想曲
- 1次予選;上記に加えてスケルツォ
- 2次予選;さらに加えて幻想ポロネーズ
スケルツォを選択する参加者が多ければ,課題曲の選択割合に大きな変化があらわれると思われますが,果たして結果は・・・
- 「選択人数・選択割合」は1次予選参加者87名が選択した割合です。
うち9名は過去の実績により予備審査が免除され予備審査には参加していません。 - 「予備審査選択率」は予備審査参加者151名が選択していた割合です。
1次予選から課題曲に加わったスケルツォを選択しているコンテスタントは,予備予選に参加した78名のうち,21名,26.9%でした。
予備予選に参加し,1次予選でスケルツォを選択しなかった57名のうち,課題曲を変更した参加者は11名,14.1%となりました。
結果的に,スケルツォを選択したコンテストタントが少なく,スケルツォを選択しなかった参加者も課題曲を変更したコンテストタントが少なかったため,参加者の57.7%が予備審査と同じ曲を弾くことになります。
これら大曲を複数準備するのは大変なのはわかりますが,やっぱりそれぞれの演奏者の色々な演奏を聴きたかったですね。
スケルツォが課題曲に加わりましたが,バラード第4番Op.52とバラード第1番Op.23,そして幻想曲Op.49の人気の高さは変わらず,半分以上52.9%のコンテストタントが,この3曲のいずれかを演奏することになります。
この3曲を選択した参加者は必然的に,多くの参加者と比較されることになります。
1次予選の結果にどんな影響が出るのか注目です。
特にバラード第4番Op.52は作品に対する深い理解がなければ,耳の肥えた審査員を納得させるだけの説得力ある演奏ができません。
しかも5人に1人はバラード第4番を弾くことになりますから,少しでも勉強不足だと感じられれば容赦なく「NO」の判定をされることになるでしょう。
予備審査で人気の高かった舟歌の選択率が大きく下がりました。
舟歌を選択した参加者は幸運だといえるでしょう。
1次予選を通過したコンテスタントは,2次予選でもこのカテゴリーが課題曲となります。
コンクールを勝ち進むためには,課題曲の選択も重要です。
予備審査から2次予選まで3連続で同じ曲を弾くのか,それとも3曲とも違う曲を選択するのか・・・
参加者たちが悩みに悩んだであろう,課題曲の選択にも注目したいですね。
2021年 ショパンコンクール 予備予選と違う課題曲を選択したコンテストタント
1次予選では,エチュードは予備審査と違う曲を選択しなければなりませんが,ノクターンカテゴリーの作品(ノクターンおよびノクターン風エチュード)と大曲(バラード,舟歌,幻想曲,スケルツォ)は予備審査と同じ曲を選択できます。
1次予選参加者87名のうち,予備審査も参加したコンテストタントは78名になります。
そのうち,
- ノクターンも大曲のうち,いずれか予備審査と違う曲を弾く参加者;34名,43.6%
- ノクターンのみ予備審査と違う曲を弾く参加者;8名,10.3%
- 大曲のみ予備審査と違う曲を弾く参加者;7名,9.0%
- 両方とも予備審査と違う曲を弾く参加者;6名,7.7%
となりました。
コンクール,しかもショパンコンクールへ向けて演奏を仕上げるのは大変なことです。
演奏技術を要するエチュードが,1次予選では予備審査と違う曲を選ばなければならないのは,コンテスタントにとっては大きな負担だと思います。
さらにノクターンや大作まで予備審査と違う曲を容易してきた6名は,それだけでも挑戦的な姿勢だと感じます。
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今回は以上です!