2021.09.19 ショパン作品一覧【ワルツ全27曲】を公開しました!

ショパンの装飾音04~下からのトリル~

装飾音
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ショパンの下からのトリル~記譜法と奏法~

3種類の記譜法はどれも同じ

上の譜例のように,ショパンは3種類の書き方を使っていました。
どの記譜法も違いはありません

奏法は,バッハの「下からの開始音のあるトリル」と同じです。

拍と同時に弾きはじめる

ショパンの下からのトリルは,注意するべきなのはただ1点のみ。

装飾音の初めの音を拍と同時に弾くこと。ただそれだけです。

これはプロでも間違えて演奏している演奏家のほうが多いぐらいなので,先取りをする演奏に聴き馴染んでしまっている可能性があります。

ショパンの時代でも間違えて演奏する人が多かったようです。
ショパンは,生徒の楽譜にトリルの開始音を拍の頭に合わせるように書き込みを入れています

普段から先取りで演奏している方も多いかもしれません。

一度,自分の中の常識をリセットして,拍と同時に弾く奏法を試してみてください。
ピアノがまるで人の声のように歌い出すのを実感できると思います。

ノクターンOp.32-2

下からのトリルも,その後に出てくる前打音も,拍と同時に演奏します。

そうすることで,まるで人が歌っているように旋律が奏でられます。

音に”しゃくり(ベンドアップ)”の効果を与える

下からのトリルを,ショパンは好んで多用しています。

いきなり主要音をポーンと鳴らすのではなく,少し下の音から回り道をして主要音に少しずつ近づくように,柔らかく音を発音させることになります。

歌手が歌うときの,しゃくり(ベンドアップ)の効果を音に与えることになります。

バラード第3番Op.47

下からのトリルが拍と同時に演奏されることで,しゃくり(ベンドアップ)からトリルによるヴィブラートへと人の声のように旋律が歌い出します。

ショパンが故意に仕掛けた不協和音

低音部で下からのトリルが入るときは,しばしば主和音と激しく衝突します。この不協和音はショパンが故意に書いたものです。複前打音を先取りして不協和音を避けてしまっては,ショパンの意図に反することになります。

スケルツォ第3番Op.39

あえて不協和音をぶつけることで強烈な印象が残ります。

バラード第2番Op.38

ここの不協和音も強烈です。

ノクターンOp.15-2
  • 下からのトリルを拍と同時に演奏したときの,不協和音(嬰ハ,嬰ロ,嬰ヘ,重嬰ヘ)がこの世のものとは思えない美しさです。
  • 当サイト管理人は,トリルの後のターンを次の拍の頭と同時に演奏します
    ためらいながら,ねだり甘えるような旋律が,より甘さを増して奏でられます。
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ショパンの作品の中で使われている下からのトリルの例

ショパンは下からのトリルを好んで使用しており,たくさんの例があります。

ソナタ第3番Op.58第1楽章

1拍目は右手が付点リズム,左手が3連符になっています。
ここは,最後の音をそろえて演奏します。

ノクターンOp.48-2

トリルで音を伸ばしたあと,7度も上へ音が上がるため,ショパンはターンを入れています。
当サイト管理人は,トリルの後のターンを次の拍の頭と同時に演奏します
そうすることで,しゃくり(ベンドアップ)の効果がより際立ちます。

即興曲Op.36
バラード第1番Op.23

下からのトリルを拍と同時に演奏することで,右手の伴奏のテンポを崩すことなく,左手にルバートが綺麗にかかります

舟歌Op.60

下からのトリルを拍と同時に演奏することで,ためらいながら少しずつ主音のC♯に近づいていく感覚が,より強まります。

ソナタ第2番Op.35第2楽章

やわらかい不協和音が美しいです。

前奏曲Op.28-9
ショパンの3連符と付点8分音符+16分音符

別の話題になりますが,ショパンが3連符と,付点8分音符+16分音符を重ねて書いているときは,3連符とリズムを揃えて弾くのが正解です。

ショパンが自筆譜に記譜するときには,リズムを揃えて弾くことを演奏者に意識させるように3連符と揃えて書かれています。

しかし,出版されるときにずらして印刷されるため,ほとんどの演奏者がリズムをずらして演奏してしまっています
これはショパンの意図した奏法ではありません。

ショパンの生徒の楽譜には,リズムを揃えて弾くように,傍線が書き込まれています。

前奏曲Op.28-23
前奏曲Op.28-24
ノクターンOp.55-2
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ショパンの下からのトリル~まとめ~

ショパンの下からのトリルで気をつけることは,ただ一つだけ。

装飾音の初めの音を拍と同時に弾くこと。ただそれだけです。

ただそれだけを意識するだけで,旋律が綺麗に歌いだし,ときには強烈な不協和音が,ときには美しい不協和音が奏でられます。

プロでも間違えて演奏している演奏家のほうが多いぐらいなので,気をつけましょう!

以上です!

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