◆当サイト管理人の演奏です。2021年5月録音。
ショパンの練習曲集には多数の原典資料が遺されています。
現在,数え切れないほどの種類のショパンの楽譜が出版されています。
その楽譜を見比べると,出版譜によってたくさんの違いがあることが分かります。
どれが正解なのか?
どれがホンモノなのか?
ショパンの最終的な意図は?
ショパンに直接聞くことはできませんから,
遺された資料,つまりは原典資料から読み解くしかありません。
今回の記事では,ショパンのエチュードの原典資料についてまとめます。
ショパン エチュード Op.10 自筆譜
Op.10の12曲のうち,Op.10-1だけ自筆譜が失われています。
Op.10-2~12の11曲はショパンの自筆譜が遺されています。
Op.10-2
古いバージョンの自筆譜
古いバージョンの自筆譜を,ストックホルムの音楽文化振興財団が所蔵しています。
丁寧に記譜されており,ショパンが記譜した運指も確認できます。
最終的なバージョン(=フランス初版)とは違いが多く,
フランス初版を出版する際に,ショパン自身が大幅に修正を加えていることが分かります。
フランス初版の校正刷り
フランス初版の校正刷り(ゲラ)を,パリのオペラ座図書館が所蔵しています。
間違いの訂正,演奏指示の補足や変更,運指の追加など,
ショパン自身の書き込みが多数遺っています。
Op.10-3『別れの曲』
ショパン自筆のラフ原稿
最終バージョンではない,ショパンの自筆譜を,ニューヨークのピアポントモーガン図書館が所蔵しています。
「パリ8月25日32年」の日付が書かれています。32年とは1832年のことです。
冒頭,速度指示が「Vivace」になっているところに注目です。
最終バージョンのショパンの自筆譜
フランス初版の原稿として,ショパン自身の手によって書かれた清書を,ワルシャワのショパン協会が所蔵しています。
冒頭,速度指示が「Vivace ma non troppo」になっているところに注目です。
Op.10-4
最終バージョンではない,ショパンの自筆譜が個人所有されていて,
ワルシャワのショパン協会がコピーを所蔵しています。
パリ1832年8月6日の日付が記譜されています。
Op.10-5
フランス初版の原稿として,ショパン自身の手によって書かれた清書を,ワルシャワのショパン協会が所蔵しています。
Op.10-6
フランス初版の原稿として,ショパン自身の手によって書かれた清書を,ワルシャワのショパン協会が所蔵しています。
Op.10-7
フランス初版の原稿として,ショパン自身の手によって書かれた清書を,ニューヨークのピアポント・モーガン・ライブラリーが所蔵しています。
Op.10-8
フランス初版の原稿として,ショパン自身の手によって書かれた清書を,ワルシャワのショパン協会が所蔵しています。
Op.10-9
ショパンの自筆譜~大雑把なラフ原稿~
ショパン自筆による大雑把なラフ原稿を,ニューヨークのピアポント・モーガン・ライブラリーが所蔵しています。
冒頭部分は,ほぼ完成した状態ですが,途中から右手パートしか記譜されていません。
ショパンの自筆譜~印刷用の清書原稿~
フランス初版の原稿として,ショパン自身の手によって書かれた清書を,ワルシャワのショパン協会が所蔵しています。
Op.10-10
フランス初版の原稿として,ショパン自身の手によって書かれた清書を,ワルシャワのショパン協会が所蔵しています。
Op.10-11
フランス初版の原稿として,ショパン自身の手によって書かれた清書を,ストックホルムの音楽文化振興財団が所蔵しています。
Op.10-12『革命』
フランス初版の原稿として,ショパン自身の手によって書かれた清書を,ストックホルムの音楽文化振興財団が所蔵しています。
ショパン エチュード Op.10 写譜
初版の印刷原稿用の清書のほとんどを,ショパン自身が記譜しているため,
ショパン以外の手による写譜はほとんど遺っていません。
Jozef Linowskiによる写譜
Op.10-1とOp.10-2の写譜で,ワルシャワのショパン協会が所蔵しています。
1830年11月2日の日付が書かれています。
ショパン エチュード Op.10 初版
献呈
練習曲集Op.10は,フランツ・リストに献呈されています。
練習曲集Op.10を見たリストが初見で弾こうとするも上手く引けず,
これを悔しがったリストは練習をし,数週間後には見事な演奏を披露。
これに感動したショパンはOp.10の練習曲集をリストに献呈した,
という逸話は有名です。
フランス初版~最も信頼できる原典資料~
パリ,M.Schlesinger(M.シュレサンジュ),1833年6月出版。
めずらしく,ショパンは校正にしっかりと関わっています。
この頃のショパンは,パリなどヨーロッパの主要都市でデビューしたばかりの新人作曲家でした。
後年のように友人に任せっきりにするのではなく,ショパン自身が校正にちゃんと関わっていました。
ドイツ初版~後世に多大な影響を残した,間違いだらけの初版~
ライプツィヒ,F.Kistner(F.キストナー),1833年8月出版。
6曲ずつ2冊に別れて出版されています。
ドイツ初版の間違いが現代では浸透してしまっている
フランス初版の校正刷りを元に出版されていますが,多数の変更が加えられています。
ドイツ初版の校正にショパン自身はきちんと関わっていません。
ショパンが意図しない勝手な変更が多数加えられているのですが,
ショパンのオリジナル(原典)として,後世のたくさんの出版譜にその勝手な変更が受け継がれてしまっています。
今でも書店に並んでいる楽譜の多くが,ドイツ初版の勝手な変更を受け継いでしまっています。
楽譜購入の際には気をつけてください。
特に,上の譜例に示した4箇所は,今現在出版されているほとんどすべての楽譜が,この間違いを受け継いでいます。
この4箇所の間違いは,プロの演奏家でもこれが正しいと思い込んでいるピアニストがほとんどです。
世界中にあふれる録音のほとんどが,この間違えたままの楽譜に従って演奏されています。
ショパンコンクールでも,この間違いをそのまま弾いている演奏者がほとんどです。
上に示した箇所が,すべて正しくショパンの意図通りに印刷されている楽譜は,
おそらくただ一つ,エキエル版だけだと思います。
エキエル版が普及し,ショパンの原典通りの演奏が当たり前になることを願っています。
他にもドイツ初版は間違いだらけ
ドイツ初版は他にも多数の勝手な訂正をしています。
Op.10-1の46小節目
フランス初版が音を間違えてDにしてしまっています。
フランス版の第2版では,ショパンの手によって,Gに修正されています。
ドイツ初版では,音の間違えに気づいたのはいいですが,勝手に♯をつけています。
Op.10-2の7小節目
ドイツ初版が勝手に和声を変えてしまっています。
Op.10-8の43小節目と51小節目
フランス初版では,それぞれFとCの♯が抜けてしまっています。
43小節目は,ジェーン・スターリングのレッスンで使用されていたフランス初版に,ショパンが訂正を書き込んでいます。
Fに♯をつけるのが正解です。
51小節目は,カミーユ・デュボワ(旧姓オメアラ)のレッスンで使用されていたフランス初版に,ショパンが訂正を書き込んでいます。
Cに♯をつけるのが正解です。
ところが,ドイツ初版では,♯をつけないことを強調するように,わざわざ♮をつけてしまっています。
Op.10-10の23小節目,35小節目
23小節目,フランス初版は♭をつけ忘れています。
ドイツ初版では♭をつけないのが正しいかのように,わざわざ♮をつけています。
さらに,35小節目では,23小節目と整合性を保つために,
35小節目にも勝手な変更を加えています。
イギリス初版
ロンドン,Wessel & C°(C.ウェッセル),1833年8月出版。
6曲ずつ2冊に別れて出版されています。
ショパン エチュード Op.10 ショパンの生徒が使用していた楽譜
ショパンの生徒がレッスンで使用していたフランス初版が3種類現存しています。
そこには,ショパンの手による書き込みが遺っています。
間違いの修正,運指,演奏指示,バリアントなどが,ショパンの手によって書き込まれています。
カミーユ・デュボワが使用していたフランス初版
カミーユ・デュボワ(旧姓オメアラ)のレッスンで使用されていたフランス初版を,パリのフランス国立図書館が所蔵しています。
なお,デュポワが使っていたのは,正確にはフランス版の第三版なのだそうです。
ジェーン・スターリングが使用していたフランス初版
ジェーン・スターリングのレッスンで使用されていたフランス初版を,パリのフランス国立図書館が所蔵しています。
なお,スターリングが使っていたのは,正確にはフランス版の第二版なのだそうです。
ルドヴィカが使用していたフランス初版
ショパンの姉,ルドヴィカが使用していたフランス初版を,ワルシャワのショパン協会が所蔵しています。
なお,ルドヴィカが使っていたのは,正確にはフランス版の第三版なのだそうです。
ショパン エチュード Op.10 最も信頼できる原典資料
ショパンのエチュードOp.10は,フランス初版を出版する際に,めずらしくショパンが校正にしっかりと関わっていました。
印刷原稿作成用の清書もショパン自身が記譜していますし,
校正刷り(ゲラ)にも,ショパン自身が多くの修正や変更を書き込んでいます。
そうやって完成したフランス初版は,
ショパンの最終的な意図が反映された原典資料として信頼できます。
ショパンの作品では,ここまで信頼に値する原典資料が存在することは珍しいことです。
これだけ確固たる原典版が存在するにも関わらず,
勝手な変更を多数加えたドイツ初版が,別の原典として認められてしまったため,
現代では,様々な種類のたくさんの間違いを含んだ楽譜が書店にあふれています。
現在出版されている楽譜に,数え切れないほどの相違が見られるのは,
ショパンの他の作品でも同じことです。
しかし,練習曲集Op.10は,フランス初版という信頼できる一次資料が存在するため,
ショパンの最終意図を容易に確認できます。
ショパンのエチュードの楽譜を何か1冊購入するならエキエル版
よほど研究熱心な方でないかぎり,ショパンのエチュードの楽譜を何種類も購入するなんてことはないでしょう。
何か1冊だけ楽譜を購入するのでしたら,エキエル版一択です。
エキエル版は,フランス初版からさらにショパン自身が修正を加えたフランスの第二版を元に,
楽譜を作っています。
エキエル版では,
- フランス版では初版から第3版まで
- ドイツ版では初版から第5版まで
- イギリス版は初版から第3版まで
これらすべての楽譜を比較検討し,
ショパン自身が校正に関わっていたかどうかなどの経緯も考慮し,
これらの中でもフランス版の第2版が最も信頼できる原典資料だとして,楽譜を作っています。
さすがのこだわりです。
さらに,
- 遺されているショパン自身の自筆譜
- ショパンが補足や修正を書き込んでいる校正刷り(ゲラ刷り)
- ショパンが書き込みを遺しているショパンの生徒の楽譜
- 写譜
など,遺されているあらゆる原典資料と比較検討して,
最も信頼できるショパンの最終的な意図を楽譜に反映させています。
他の出版譜と比べて,値段は少し高めですが,十分にその価値はあります。
現在出版されているOp.10の楽譜は,ドイツ初版の恣意的な間違いを受け継いだものばかりです。
間違った楽譜や録音に慣れてしまっている現代人には,エキエル版のほうが奇異に感じるかもしれませんが,エキエル版の譜面こそがショパン自身が意図したホンモノのショパンのエチュードです。
ショパン エチュード Op.25 自筆譜
Op.25-1,2,4.8の4曲のみ,ショパンの自筆譜が遺っています。
Op.25-1『エオリアン・ハープ』
マリア・ヴォジニスカのアルバムに遺された自筆譜
マリア・ヴォジニスカのアルバムにショパンの自筆譜が遺されていました。
実物は失われていますが,ワルシャワのショパン協会がコピーを所蔵しています。
「ドレスデン1836年」と書かれています。
ショパン自筆の清書
ドイツ初版の原稿として,ショパン自身の手によって書かれた清書を,ワルシャワのポーランド国立図書館が所蔵しています。
Op.25-2
マリア・ヴォジニスカのアルバムに遺された自筆譜
マリア・ヴォジニスカのアルバムにショパンの自筆譜が遺されていました。
実物は失われていますが,ワルシャワのショパン協会がコピーを所蔵しています。
「ドレスデン1836年」と書かれていて,
最終的なバージョンに近い譜面になっています。
A.Teichmannのアルバムに遺された自筆譜
A.Teichmann(A.タイシュマン)のアルバムにショパンの自筆譜が遺されていて,
ヴァルデモーザのF.ショパン&G.サンドミュージアムが所蔵しています。
4分の2拍子で書かれていて(最終バージョンは2分の2拍子),
すべての音符の音価が半分になっています。
「1836年1月27日パリ」と書かれています。
Op.25-4
ドイツ初版の原稿として書かれた,ショパン自筆の清書を,
パリのオペラ座図書館が所蔵しています。
メトロノームによるテンポ指示が,最終的な出版譜とは違っています。
Op.25-8
ドイツ初版の原稿として,ショパン自身の手によって書かれた清書を,ワルシャワのポーランド国立図書館が所蔵しています。
ショパン エチュード Op.25 写譜
ポトツカ夫人のアルバム
Op.25-1,Op.25-2の写譜者不明の写譜が,デルフィナ・ポトツカのアルバムに遺されていて,
クラクフのポーランド国立美術館が所蔵しています。
途中で筆跡が大きく変わるため,少なくとも2名の写譜者による写譜だと思われます。
グートマンの写譜
ドイツ初版の原稿として書かれた,グートマン(Adolphe Gutmann)によるOp.25-2,Op.25-3,Op.25-7,Op.25-9,Op.25-10,Op.25-11の写譜(印刷原稿用の清書)を,
ワルシャワのポーランド国立図書館が所蔵しています。
この写譜には,ショパン自身の手による校正も加わっています。
フォンタナの写譜
ドイツ初版の原稿として書かれた,フォンタナ(Julian Fontana)によるOp.25-4,Op.25-5,Op.25-6,Op.25-12の写譜(印刷原稿用の清書)を,
ワルシャワのポーランド国立図書館が所蔵しています。
この写譜には,ショパン自身の手による校正も加わっています。
ショパン エチュード Op.25 初版
献呈
練習曲集Op.25は,マリー・ダグー伯爵夫人に献呈されています。
マリー・ダグー伯爵夫人は,1805年生まれで,ショパンがパリで活躍をはじめ,ジョルジュ・サンドと出会ったころに,フランツ・リストの愛人だった女性です。
1833年にサロンでリストと知り合って,1835年ごろからリストと関係を持っていました。
リストとダグー夫人が逗留しているスイスへサンドが遊びにいったり,
サンドが所有するノアンの別荘にリストとダグー夫人を招いたり,といった友人関係にありました。
文筆活動もしていたダグー夫人はサンドに対抗心を燃やしていたそうで,
後年,小説「ネリダ」でリストとの関係を書いてベストセラーになっています。
その後,ダグー夫人とリストの仲はうまくいかなくなっていきますが,
サンドとショパンは長年良好な関係が続きます。
そのせいで,ダグー夫人はたびたびサンドの陰口を言うようになり,
サンドとダグー夫人の仲は悪くなっていきます。
フランス初版
パリ,M.Schlesinger(M.シュレサンジュ),1837年10月出版。
Op.10と同じく,Op.25も,フランス初版の出版に際して,ショパン自身が校正に関わっています。
印刷用の清書原稿もショパン自身の自筆だと思われますが,ほぼ現存していません。
ドイツ初版
ライプツィヒ,Breitkopf & Hartel(ブライトコップフ・ウント・ヘルテル),1837年10月出版。
6曲ずつ2冊に別れて出版されています。
印刷用の清書原稿は,12曲ともすべて遺っており,その清書原稿は,
- ショパンの自筆譜・・・Op.25 – 1,8の2曲
- グートマン(Adolphe Gutmann)による写譜・・・Op.25 – 2,3,7,9,10,11の6曲
- フォンタナ(Julian Fontana)による写譜・・・Op.25 – 4,5,6,12の4曲
となっています。
詳細は前述しています。
ドイツ初版は,ショパンが校正にほとんど関わっておらず,
Op.10と同じように,Op.25でも恣意的な改訂を多くしています。
しかし,Op.25-1だけは,ショパンがしっかり校正に関わっていたようです。
イギリス初版
ロンドン,Wessel & C°(C.ウェッセル),1837年10月出版。
6曲ずつ2冊に別れて出版されています。
ショパンは校正に関わっていません。
ショパン エチュード Op.25 ショパンの生徒が使用していた楽譜
ショパンの生徒がレッスンで使用していたフランス初版が3種類現存しています。
そこには,ショパンの手による書き込みが遺っています。
間違いの修正,運指,演奏指示,バリアントなどが,ショパンの手によって書き込まれています。
カミーユ・デュボワが使用していたフランス初版
カミーユ・デュボワ(旧姓オメアラ)のレッスンで使用されていたフランス初版を,パリのフランス国立図書館が所蔵しています。
ジェーン・スターリングが使用していたフランス初版
ジェーン・スターリングのレッスンで使用されていたフランス初版を,パリのフランス国立図書館が所蔵しています。
ルドヴィカが使用していたフランス初版
ショパンの姉,ルドヴィカが使用していたフランス初版を,ワルシャワのショパン協会が所蔵しています。
ショパン エチュード Op.25 最も信頼できる原典資料
Op.10は,フランス初版という信頼できる原典資料がありますが,
ショパンの作品では,こういった確固たる原典資料があるのは珍しいことです。
Op.25は,他のショパンの作品と同様に,決定的な原典資料はありません。
複数遺されている原典資料から,最も信頼できる原典資料を作品ごとに見ていきます。
Op.25-1『エオリアン・ハープ』
ショパン自身が書いた印刷用の清書が遺っており,
出版の校正にもショパン自身が関わっていたドイツ初版が,
最も信頼できる原典資料になります。
グートマンの写譜
グートマンの写譜がのこされているOp.25-2,Op.25-3,Op.25-7,Op.25-9,Op.25-10,Op.25-11は,グートマンの写譜が最も信頼できる原典資料です。
グートマンは他の作品の写譜からも,その誠実な仕事ぶりは信頼できます。
グートマンの写譜からドイツ初版が作られましたが,
ドイツ初版そのものはショパンが校正に関わっておらず,恣意的な変更が加えられているため,グートマンの写譜が最も信頼できる原典資料といえます。
フランス初版
ドイツ初版のための清書として,フォンタナの写譜ものこっていますが,
他の作品の仕事ぶりから,フォンタナの写譜はあまり信頼できません。
その信頼できない写譜を元に出版され,さらに出版段階で恣意的な編集が行われているドイツ初版も信頼できません。
フランス初版は,ショパン自身が自筆で書いた清書原稿は失われてしまっていますが,ショパン自身が出版の校正に関わっているため,ドイツ初版よりは信頼できます。
Op.25-4,Op.25-5,Op.25-6,Op.25-8,Op.25-12はフランス初版がもっとも信頼できる原典資料となります。
ショパンのエチュードの楽譜を何か1冊購入するならエキエル版
よほど研究熱心な方でないかぎり,ショパンのエチュードの楽譜を何種類も購入するなんてことはないでしょう。
何か1冊だけ楽譜を購入するのでしたら,エキエル版一択です。
複数ある原典資料から,1曲ごとに最も信頼のおける原典資料を選別し,
さらに,複数の原典資料を比較検討し,最終的な譜面に仕上げています。
Op.25-4,Op.25-5,Op.25-6,Op.25-8,Op.25-12はフランス初版がもっとも信頼できる原典資料となる,と前述しましたが,
エキエル版では,Op.25-4とOp.25-8はフォンタナの写譜を最も信頼できる原典資料として扱っています。
これは,ショパンの作品に精通したエキエル版編集スタッフにしか分からない選択眼です。
他の楽譜と比べて少しだけ高価ですが,
自筆譜や写譜など簡単には手に入らない資料を集め,
それらの来歴を調べ,比較検討するという,
膨大な時間を要する仕事の結果が簡単に手に入るわけですから,
価格以上の価値が十分にあります。
今回は以上です!
◆当サイト管理人の演奏です。2021年5月録音。