当サイト管理人,林 秀樹の演奏動画です。
自筆譜や写譜,原典版などをご覧いただきながら演奏を楽しんでいただけるようにしています。
できるだけ原典に忠実な演奏を心がけています。
アマチュアピアニストの演奏なので至らぬ点もたくさんあると思いますがご容赦ください!
*2021年5月録音
*Op.10-2は100回以上(!)録りなおしてようやく録音を残すことができました。
◇Op.10-2単独再生
◇Op.10 12曲連続再生
◇Op.25 12曲連続再生
- ショパン 練習曲(エチュード) Op.10-2 概要
- ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 原典資料
- ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 構成
- ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 出版譜に見られる間違い
- ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 自筆譜を詳しく見てみよう!
- ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 演奏の注意点
- ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 実際の演奏
ショパン 練習曲(エチュード) Op.10-2 概要
- ショパン エチュード(練習曲集)Op.10,Op.25【概要と目次】
- ショパン エチュード(練習曲集)Op.10 Op.25 概要の章に練習曲集全体の概要をまとめています。
- 海外での呼び名の章に練習曲集全曲の海外での呼び名をまとめています。
- 各曲の練習課題の章に練習曲集全曲の練習課題をまとめています。
- ショパンの指づかいにショパンの運指法をまとめています。
- ショパン作品一覧ではショパンの全作品を一覧表にまとめています。
Op.10-1に続きOp.10-2も難曲
Op.10-1という難曲からはじまったショパンの練習曲集ですが,さらに難曲が続きます。
Op.10-2で繰り返される音型は3,4,5の指(中指,薬指,小指)だけで半音階を弾き続けるというもの。
それだけでも十分難しいのに,同時に1,2の指(親指,人さし指)で内声を鳴らすという,常軌を逸した技巧が延々と続きます。
ショパンデビュー時にショパンの作品を酷評していた評論家のレルシュタープが「この曲を演奏するには外科医が必要だ。指が歪んでしまう」と批判したことでも有名です。
ショパン指定のテンポはという超高速テンポで,しかもOp.10-2は伝統的にショパンの指定テンポを守って演奏されます。
ペダルを極力使用せず,かつ,3,4,5の半音階はsempre legatoで演奏するようにと指示されています。
3,4,5の指だけで半音階を音が抜けたり出っ張ったり,滑ったりせずに滑らかに弾き続けるのは大変です。
ショパンはたった1分ちょっとの作品に,sempre legatoと7回も!書いています。
3,4,5の半音階も,ノン・レガートにleggieroに演奏するならまだ弾きやすいのですが,
レガートに弾くのは本当に大変です。
3,4,5の指だけで半音階を弾く,ということだけが大きく取り上げられますが,
この作品の難しさは,同時に1,2の指で内声を鳴らすところにあります。
演奏中はどうしても3,4,5指の半音階に意識が向いてしまいますが,気をつけないと,1,2指の内声をカスって音が抜けてしまいます。
3,4,5指のうち5指だけ大きく手前にあるため,奥にある黒鍵は弾きにくいです。
ショパンの運指法では黒鍵をなるべく3指(中指)で,3指だけではどうしても無理なときは4指(薬指)で黒鍵を弾き,5指(小指)はなるべく白鍵を弾くように工夫されています。
5指が鍵盤に届きにくいことから,5指をつかうときに手首や肘が動いてしまいそうになります。
しかし手首や肘が動いてしまうと音が安定せず,フレーズを美しく演奏することはできません。
Op.10-2では1,2指で内声を弾く必要があるため,手首や肘を動かすことができず,自然と正しい演奏姿勢になります。
訓練用の練習曲としても科学的によく考えられて作られています。
左手伴奏もというテンポで跳躍し続けるので気を抜けば音を外します。
中間部では左手伴奏も旋律を担当する場面が出てきて3つのパートを弾き分けるのは大変難しいです。
音数の少ない作品なので,ちょっと音が抜けるだけで音楽がカスカスになってしまいます。
最初から最後まで集中力が必要な作品です。
何より,これだけ演奏が難しいわりに面白みや魅力に欠けていて(当サイト管理人の個人的な意見です),練習意欲のわかない作品です。
当サイト管理人は資料映像とするために演奏動画を毎回録音していますが,
Op.10-2の演奏は大変でした。
難曲なうえ,普段あまり弾かない曲なので何回録りなおしても上手くいきませんでした。
ミスタッチはもちろん,変なところにアクセントがついてしまったり,打鍵がカスッて音が抜けてしまったり,たった1分半の作品なのに,最初から最後まで参考演奏としてふさわしい録音を残すのは至難の業でした。
なんと,100回以上も(!)録りなおしてようやく録音を終えることができました。
Op.10-2をコンサートやコンクールで平然と演奏している一流ピアニストたちはやっぱりすごいですね。
Op.10-2の練習課題
Op.10-1が単なるアルペッジョの練習曲ではなかったように,Op.10-2も単なる半音階の練習曲ではありません。
そもそも,3,4,5指だけで半音階を演奏するような特殊な技術が必要な作品はほとんどありません。
また,ショパン以前の作曲家たちがそうしたように,弱い指である3,4,5指を強く鍛えようとしたわけでもありません。
まったく逆で,Op.10-2は各指の個性を生かし,それぞれの指の個性を伸ばすための練習曲です。
指にはそれぞれ個性がある
ショパンのピアノ演奏法は,実に現代的で科学的なものでした。
ショパンの運指の研究にもエキエル版が便利!
ショパンの指づかい(運指法)を研究するときにもエキエル版が重宝します。
エキエル版では
- ショパン自身が初版譜に記譜した指づかいは太字
- 編集者(エキエル氏)が追加提案した指づかいは斜体
- ショパンが生徒のレッスン譜に書き込んだ指づかいは(太字)
というふうに明示されていて,めちゃくちゃ便利です!
Op.10-2も,他の出版譜だと,ショパン自身が記譜した指づかいなのか,編集者による指づかいなのか,いちいち確かめないとダメですが,エキエル版なら一目瞭然です!
エキエル版ですが,2021年5月より日本語版が順次発売されています!
2021年秋には,練習曲集の日本語版が発売になるようです!
例えば,5本の指を同じように使うのではなく,力の強い指,弱い指の違いを認め,その違いを活かすような運指を考え出しています。
ショパンはノクターンなど,繊細で美しい旋律を奏でるときに4,5指(薬指と小指)を積極的に使っていました。
上の譜例はノクターンOp.9-2のフランス初版ですが,ショパンは4,5の指の弱さを認めた上で,その弱さを逆に利用して,鍵盤の上で4,5指をすべらせるように弾くことを指示しています。
実際に楽譜通りの指遣いで演奏してみると,まるで鳥の羽でやさしく鍵盤をなでるように,
345指によって繊細で情緒豊かな旋律が奏でられます。
ショパンは繊細な美しい旋律を詩情豊かに演奏するために,あえて1,2指は使わず,
3,4,5指だけで旋律を演奏していました。
ショパンは重音奏法でも345指を巧みに操っています。
ショパン以前は,弱い指=4・5の指=薬指と小指を強く鍛えて,他の強い指と同じ様に演奏できるように訓練するのが常識でした。
しかしショパンは,各指のそれぞれの個性を生かして音楽を奏でる奏法を生み出しています。
ショパンのピアノ奏法は革新的です。
ショパンは死の直前にピアノ入門書を書き始めていました。
未完のままショパンは亡くなってしまいましたが,草稿は遺されています。
「肘は白鍵の高さに,手は内側外側に傾けずにまっすぐ置き,手首から先だけでなく腕全体を使って」「音楽とは・・・」「音による思想や感情の表現・・・」「一つの言葉では言語にならないのと同じく,一つの音では音楽にならない・・・」など,ショパンのピアノ演奏に関する貴重なメソードに触れることができます。
そこには「各指の性質を生かしたタッチの魅力を損なわないように」との記述もあり,
弱い指を強く鍛えて個性を潰してしまうのではなく,弱い指が本来もつ魅力を最大限ひきだすことが大切であると説いています。
Op.10-2は3,4,5指,特に弱い指である4,5指を使って繊細で詩情豊かな旋律を奏でるための基礎を徹底的に鍛える練習曲です。
ショパンがこだわり抜いた運指法
フランス初版の校正刷り(ゲラ刷り。校正用に,実際に印刷機で試し刷りをした原稿)が遺されています。
そこにはショパン自身が修正や訂正を丁寧に書き込んでいます。
校正刷りにはショパン自身が運指を綿密に書き込んでいます。
ショパンがこの運指法を重要視していたことがわかります。
ショパンが書き込んだ運指は約500個!
およそ800個の半音階すべてに指づかいを指定しています。
また,ショパンは執拗にsempre legatoと書き込んでいます。
この運指法は,レガート奏法と密接な関係にあることが分かります。
練習曲集連続演奏の最大の難関
練習曲集は曲集全体が一つの作品であり,
Op.10の12曲の練習曲,またはOp.10とOp.25の24曲の練習曲は連続で演奏するべきです。
練習曲集を連続で演奏しようとしたときの最初で最大の難関がOp.10-1とOp.10-2の連続演奏でしょう。
Op.10-1とOp.10-2は難曲揃いの練習曲集全24曲の中でも特に演奏が難しい作品です。
曲集の冒頭からの難曲の連続です。
Op.10-1は少しでも脱力ができていないと疲労がたまります。
ほんの少しでも右手に疲労がたまってしまうと,繊細なコントロールが必要なOp.10-2は演奏できません。
ショパンの練習曲集をさらっと弾いてしまうプロの演奏家は本当にすごいですね。
Op.10-2 海外での呼び名
練習曲Op.10-2は,英語圏では ‘Chromatique'(半音階)と呼ばれているそうです。
ショパン自身は作品に標題をつけられることを嫌っていましたが,
世界中で愛されているショパンの作品の多くには,その作品の魅力を伝えるキャッチーな呼び名がつけられています。
しかしOp.10-2につけられた題名は「半音階」という簡素なもの。
こんな題ならつけなければ良いのに,と思うのですが,24曲の練習曲のほとんどに魅力的な標題がつけれられているため,どうせなら24曲全部に題名をつけたいと思ったのでしょう。
どうせなら「半音階的常動曲」とか「悪魔の半音階」とか名付ければ良いのにと思いますが,
それだけ,Op.10-2は魅力のない作品なのでしょう(当サイト管理人の個人的な意見です)。
作曲時に使用していたピアノ
- ショパンがエチュードの作曲で使用したピアノについての詳細な解説は,ショパン エチュード【ショパンが作曲に使用したピアノ】をご覧ください。
- ショパンの使っていたピアノの音域では,ショパンがその生涯で使っていたピアノの音域について解説しています。
Jozef Linowskiという人がOp.10-1,Op.10-2の写譜を書き遺していますが,1830年11月2日の日付が書かれています。
これは,ショパンが祖国ポーランド発ち,ウィーンへとむかった,まさにその日になります。
Jozef Linowskiの写譜を見ると,最終的なバージョンに近いところまで完成されており,
Op.10-2はポーランドを発つ前にほぼ完成していたことが分かります。
ショパンがポーランドで使っていたピアノはウィーン式アクションのピアノです。
難曲揃いの練習曲集の中でも突出して演奏が難しいOp.10-2ですが,
打鍵に必要な力が現代のピアノの3分の1程度で,強弱の変化があまりつけられなかったというウィーン式アクションのピアノなら随分と弾きやすかったかもしれません。
Op.10-2は繊細なタッチコントロールができていないと,予期せぬ大きな音が出てしまったり,逆に打鍵がカスッて音が抜けてしまったりします。
多少タッチが雑になっても均一な音が出たであろうウィーン式アクションのピアノなら,現代のピアノよりも弾きやすかったことでしょう。
しかし,ウィー式アクションのピアノは硬質でクリアな音を発し,音が伸びずに急速に減衰したということなので,レガート奏法は現代のピアノよりも難しかったと思われます。
Op.10-2は同じ345指を頻繁に使うため,いつまでも鍵盤を押さえたままにできません。
特に,2個となりの音を同じ指で弾くときには,すぐにその指を鍵盤から離してしまうことになります。
Op.10-2はレガート奏法が極めて難しい作品になります。
レガート奏法はペダルを使用して誤魔化すこともできるのですが,
Op.10-2はダンパーベダルを踏んでしまと,左手伴奏のスタッカートが表現できなくなり,内声部の16分音符も伸びて響いてしまいます。
Op.10-2はペダルを使ってレガート奏法のように誤魔化すこともできないため,
とにかくレガート奏法が難しい曲です。
特に,一つ一つの音が明瞭に響き,その響きが急速に減衰したというウィーン式アクションのピアノではレガートに演奏するのが難しかったであろうと思われます。
ショパンが譜面に「sempre legato」と7回も!記譜したのもうなずけます。
作品番号,調性,作曲年
ショパンが練習曲集を作曲したときの時代背景は,以下の解説記事をご覧ください。
*ショパンが練習曲集を作曲したのは主にパリ時代になります。
ショパンがいよいよ祖国ボーランドを旅立ち,ウィーンへ向かおうとしていた1830年秋ごろの作曲だと思われます。
Jozef Linowskiが書いたOp.10-1とOp.10-2の写譜がのこされとり,そこには「Exercise1」「Exercise2」と書かれています。
Op.10-1とOp.10-2はセットで一緒に書かれた作品ではないかと思います。
Jozef Linowskiの写譜には1830年11月2日というサインが書かれています。
これはショパンがポーランドを旅立ったまさにその日になります。
ショパンが多用したイ短調
調性が確認できるショパンの作品254曲のうち,16曲がイ短調で書かれており,
変イ長調,ハ長調に次いで,3番目に多くショパンが使った調性になります。
ショパンのイ短調の作品は,数は多いですが小品ばかりで目立った作品は少ないです。
主要作品というと『木枯らし』のエチュードぐらいでしょうか。
マズルカOp.59-1も名作ですが,ショパンの代表作として真っ先に名前が出てくるような作品ではありません。
エチュードOp.10-2とか,前奏曲Op.28-2,フーガなど奇妙な(当サイト管理人の個人的な意見です)作品が多いのも特徴です。
Op.10とOp.25,全24曲の調性と作曲年の一覧表
ウィーン式アクションのピアノで作曲されたであろう作品は青太字に,
イギリス式アクションのピアノで作曲されたであろう作品は緑太字で表示しています。
No. | Op. | - | BI | 調性 | 作曲年 | 19才 | 20才 | 21才 | 22才 | 24才 | 25才 | 26才 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 10 | 1 | 59 | ハ長調 | 1830年 | 20才 | ||||||
2 | 10 | 2 | 59 | イ短調 | 1830年 | 20才 | ||||||
3 | 10 | 3 | 74 | ホ長調 | 1832年 | 22才 | ||||||
4 | 10 | 4 | 75 | 嬰ハ短調 | 1832年 | 22才 | ||||||
5 | 10 | 5 | 57 | 変ト長調 | 1830年 | 20才 | ||||||
6 | 10 | 6 | 57 | 変ホ短調 | 1830年 | 20才 | ||||||
7 | 10 | 7 | 68 | ハ長調 | 1832年 | 22才 | ||||||
8 | 10 | 8 | 42 | ヘ長調 | 1829年 | 19才 | ||||||
9 | 10 | 9 | 42 | ヘ短調 | 1829年 | 19才 | ||||||
10 | 10 | 10 | 42 | 変イ長調 | 1829年 | 19才 | ||||||
11 | 10 | 11 | 42 | 変ホ長調 | 1829年 | 19才 | ||||||
12 | 10 | 12 | 67 | ハ短調 | 1831年 | 21才 | ||||||
13 | 25 | 1 | 104 | 変イ長調 | 1835年 | 25才 | ||||||
14 | 25 | 2 | 97 | ヘ短調 | 1835年 | 25才 | ||||||
15 | 25 | 3 | 99 | ヘ長調 | 1835年 | 25才 | ||||||
16 | 25 | 4 | 78 | イ短調 | 1832年 | 22才 | ||||||
17 | 25 | 5 | 78 | ホ短調 | 1832年 | 22才 | ||||||
18 | 25 | 6 | 78 | 嬰ト短調 | 1832年 | 22才 | ||||||
19 | 25 | 7 | 98 | 嬰ハ短調 | 1836年 | 26才 | ||||||
20 | 25 | 8 | 78 | 変ニ長調 | 1832年 | 22才 | ||||||
21 | 25 | 9 | 78 | 変ト長調 | 1832年 | 22才 | ||||||
22 | 25 | 10 | 78 | ロ短調 | 1832年 | 22才 | ||||||
23 | 25 | 11 | 83 | イ短調 | 1834年 | 24才 | ||||||
24 | 25 | 12 | 99 | ハ短調 | 1835年 | 25才 |
メトロノームによるテンポ指定
ショパン エチュード【ショパンが指定したテンポ】の解説記事では,ショパンが指定したテンポについて詳細をまとめています。
ショパンのエチュードは全24曲にショパン自身がメトロノームによるテンポ指示を書いており,特筆すべき特徴です。
どの曲の指定テンポも非常に速く,人間が演奏可能なギリギリの極限を狙ったようなテンポ指示になっています。
ショパンのエチュードは,ショパン指定のテンポよりもやや遅いテンポで演奏することが一般的に認められている作品も多いです。
しかし,Op.10-2はショパン指定のテンポ通り演奏することが慣例となっており,Op.10-2の演奏が難しい原因の一つとなっています。
ショパン指定のテンポで演奏することが慣例となっている作品は演奏が難しい
ショパンの練習曲集の中でもズバ抜けて難しいのはOp.25-11『木枯らし』です。
なにせ『木枯らし』のエチュードはショパン指定の驚異的なテンポでは演奏不可能(!)です。
しかし『木枯らし』のエチュードは伝統的に若干遅いテンポ(ぐらい)で演奏するのが普通で
(だって,ショパン指定のテンポでは演奏できませんからね・・・),
そのテンポだと決して弾きにくい作品ではありません(十分難しいですけどね・・・)。
難曲揃いのショパンの練習曲集の中でも,特に難曲として上がるのは,
Op.10-1,Op.10-2,Op.25-6,Op.25-8の4曲です。
この4曲はショパンの指定テンポ通りに演奏することが慣例となっており,
これらの作品の演奏が難しい要因の一つとなっています。
しかしOp.10-2,Op.25-6,Op.25-8の3曲はショパンのエチュードの中では指定テンポが抑え気味で,無理をすれば指定テンポより速く弾くことも可能ではあります。
指定テンポより速く弾いて,ちゃんと丁寧に演奏するのはほぼ不可能ですが,
それでもショパン指定のテンポは「人間の運動能力の限界」よりはやや遅いテンポに設定されています。
「テンポはやや抑え気味で良いから,丁寧にちゃんと弾いてね」というショパンの声が聞こえてくるかのようです。
ゆっくりでいいから,ちゃんと丁寧に弾いてね。
ショパンがOp.10-2に指定したテンポの変遷
Jozef Linowskiによる写譜
Jozef Linowskiの写譜にはExercise2と書かれているだけでテンポ指示は書かれていません。
1830年11月2日のサインが書かれており,これはショパンが祖国ポーランドを旅立つまさに当日にあたるため,ショパンがまだポーランドにいたころの写譜になります。
古いバージョンの自筆譜
古いバージョンのショパンの自筆譜にはVivaceと書かれています。
フランス初版の校正刷り
フランス初版の校正刷り(ゲラ刷り)には,ショパン自身がAllegroと書き込んでいます。
フランス初版
最終的にフランス初版にはAllegro と印刷されました。
ショパンが記譜した発想記号・速度記号
ショパン エチュード【ショパンが記譜した演奏指示】の解説記事では,ショパンが練習曲集に記譜した演奏指示をまとめています。
1分ちょっとの作品に,なんと7回も!sempre legatoと記譜しています。
ショパンさん,sempre legatoって書きすぎです。
Op.10-2の練習課題を習得するためには,レガート奏法がいかに重要であるかが伝わってきます。
sempre legato,sempre legato,sempre legato・・・
ゴドフスキー『ショパンのエチュードによる53の練習曲』
ゴドルスキーはOp.10-2から2曲の編曲を書いています。
ゴドフスキー『ショパンのエチュードによる53の練習曲』No.3
Op.10-2とまったく同じ練習課題を,左手でも訓練しようという編曲です。
ショパンは左手ベース音も345指で美しく奏でる場面がありますから,
ゴドフスキーのこの編曲はショパンの作品を演奏するための練習曲としても価値のある作品です。
ゴドフスキー『ショパンのエチュードによる53の練習曲』No.4
『ショパンのエチュードによる53の練習曲』の中でも屈指の難曲です。
左手の半音階は123指を主に使いますので,345指で半音階を演奏するよりははるかに弾きやすいです。
といっても簡単ではありません。
その上,右手のスタッカートによる重音の飛躍の連続もメチャクチャ難しいです。
そして,難易度の高い左手と右手を同時に演奏せねばならず,しかもそのリズムは4:3のポリリズム。
当サイト管理人は若い頃何度かチャレンジしましたが,あまりの難しさに練習を断念しました。
練習しようという気力さえ簡単に折られてしまうほどの難しさがあります。
録音もほとんどされたことがありませんが,アルク=アンドレ・アムランの演奏はすばらしいです。
作品の魅力としても『ショパンのエチュードによる53の練習曲』No.4は原曲のOp.10-2を越えていると思います。音楽作品として非常に美しい作品です。
ただし「345指による美しい旋律の奏法」という練習課題は失われてしまっています。
このアムランの演奏ですが,Amazonなどで探してみましたが,今はCDを手に入れるのが難しいようですね。
アムランの『ショパンのエチュードによる53の練習曲』の全曲録音は,
ポリーニのショパン練習曲集に匹敵する偉業だったのですが。
今の若い人たちがこの偉業に触れることができないのだとすると,非常に残念です。
(2021年8月23日追記)
先ほど『黒鍵』のエチュードの記事を書きながらアマゾンを再び検索してみたら,見つけました!
Godowsky: Complete Studies on Chopin’s Etudes
いつまで販売されているかはわかりませんが,一応リンクを貼っておきます↑
なお,アムランはイ短調の練習曲Op.10-2とOp.25-4,Op.25-11の3曲を同時に演奏する編曲作品を書いています。
ゴドフスキーの『ショパンのエチュードによる53の練習曲』に勝るとも劣らない難曲です。
ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 原典資料
ショパン エチュード【原典資料】の解説記事では,ショパンの練習曲集全体の,初版や自筆譜,写譜などの原典資料について詳細をまとめています。
自筆譜
古いバージョンの自筆譜
古いバージョンの自筆譜を,ストックホルムの音楽文化振興財団が所蔵しています。
丁寧に記譜されており,ショパンが記譜した運指も確認できます。
最終的なバージョン(=フランス初版)とは違いが多く,
フランス初版を出版する際に,ショパン自身が大幅に修正を加えていることが分かります。
写譜
Jozef Linowskiによる写譜
Op.10-1とOp.10-2の写譜で,ワルシャワのショパン協会が所蔵しています。
1830年11月2日の日付が書かれています。
校正譜
フランス初版の校正刷り
フランス初版の校正刷り(ゲラ)を,パリのオペラ座図書館が所蔵しています。
間違いの訂正,演奏指示の補足や変更,運指の追加など,
ショパン自身の書き込みが多数遺っています。
フランス初版
ショパンの作品にはめずらしく,ショパンはOp.10のフランス初版の校正にしっかりと関わっています。
この頃のショパンは,パリなどヨーロッパの主要都市でデビューしたばかりの新人作曲家でした。
後年のように友人に任せっきりにするのではなく,ショパン自身が校正にちゃんと関わっていました。
フランス初版は練習曲集Op.10の決定稿として大変信頼できる一次資料になります。
フランス初版をご覧いただきながら,当サイト管理人の演奏を楽しんでいただける参考演奏動画を用意しています。
ぜひご覧になってください!
ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 構成
分かりやすい三部形式
ショパンの練習曲集Op.10,Op.25の24曲はすべて三部形式で書かれています。
崇高な芸術作品でありながら決して難解ではなく,分かりやすい構成で作られているところは,
ショパンの作品の魅力の一つです。
最初から最後まで同じ音型が続くので,譜面をパッと見ただけでは分かりませんが,
主部Aと再現部A’が明確なイ短調で書かれているのに対して,中間部Bは転調を繰り返すため,はっきりとした3部形式になっています。
主部Aと再現部A’は明確なイ短調で書かれているため,陰りのある沈んだような静かな落ちつきがありますが,中間部Bのは転調を繰り返すので緊張感があります。
まったく同じ音型が続くのに,和声だけでここまで明確に音楽を構成しているのは素晴らしいです。
ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 出版譜に見られる間違い
現在の出版譜に大きな間違いはない
他の作品と比べると,現在出版されているOp.10-2の楽譜に大きな間違いは見られません。
アーティキュレーションと強弱記号に間違いが散見されます。
Op.10-2の出版譜によく見られる間違い
4,12,39小節目,左手はタイではなくスラーが正解
タイでB音(シの音)をつないでいる楽譜がありますが,タイではなくスラーが正しいです。
7小節目,G音(ソの音)は♮(♯をつけない)
7小節目のG音(ソの音)に♯がついている楽譜があるかもしれませんが,G音(ソの音)に♯はつきません。
Eメジャー(ミソ♯シ)ではなくEマイナー(ミソ♮シ)が正解です。
8小節目,横に長いアクセントとdim.が正解
ショパンが横に長いアクセントをよく書いていましたが,デクレッシェンドと勘違いされることがよくありました。
Op.10-2の8小節目でも,フランス初版の校正刷りにショパンが書き込んだ横に長いアクセントが勘違いされ,結局デクレッシェンドが印刷されてしまいました。
出版直前にこのことに気づいたショパンは,あわててフォルツァンドを書き加えています。
勘違いや大慌ての校正などが重なって,ディクレッシェンドのあと,急にフォルツァンドが書かれていて,その後dim.されるという変な譜面になってしまいました。
ショパン自筆の校正刷りへの書き込みがショパンの意図をもっとも反映しています。
12小節目,フォルテは不要
4,12,39小節目はまったく同じハズなのに,12小節目の左手和音にだけフォルテが印刷されている場合があります。
ショパンは印刷用の清書原稿にフォルツァンド(fz)をたくさん書いていたようで,
校正刷りを印刷する前に消したのですが,12小節目は消し忘れてしまったようです。
さらに,フランス初版は校正刷りを印刷するときにフォルツァンド(fz)をフォルテに変更して印刷し,ショパンは校正段階でこれを見逃したようです。
18小節目,左手オクターブにはスタッカートをつけるのが正解
18小節目,主部の最後の小節です。
校正刷りへのショパン自身の書き込みからも分かる通り,左手オクターブにはスタッカートをつけるのが正解です。
スラーがついている楽譜がありますが,アーティキュレーションが全く変わってしまいますね。
ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 自筆譜を詳しく見てみよう!
Op.10-2はフランス初版の清書原稿は失われてしまっていますが,
- 古いバージョンのショパンの自筆譜
- フランス初版の校正刷りへのショパン自身の書き込み
- Jozef Linowskiによる写譜
が遺されています。
Op.10-2は初版出版の3年前ごろから作曲されています。
古いバージョンの原典資料を研究することで,
ショパンが最終版へ至るまでの推移を見ることができます。
また,Op.10のフランス初版はショパンの作品には珍しく,ショパンが最後までしっかりと校正に関わっていますので,ショパンの最終的な意図を反映した決定稿として資料価値が高いです。
フランス初版は,譜面をご覧いただきながら当サイト管理人の演奏を楽しんでいただける参考演奏動画を公開していますので,ぜひそちらもご覧ください!
古いバージョンのショパンの自筆譜
Op.10-2の自筆譜を,ストックホルムの音楽文化振興財団が所蔵しています。
最終決定稿であるフランス初版とは細部で異なる点があるため,
古いバージョンの自筆譜だと考えられています。
塗りつぶして訂正している箇所がまったくなく,細部まで丁寧に書かれた清書原稿で,細部には違いがあるものの,最終稿に近い形まで完成されています。
1830年11月2日(ショパンが祖国ポーランドを発ったまさにその日)の日付が書かれているJozef Linowskiによる写譜よりも前に書かれたものだと思われます。
Op.10-1とOp.10-2はポーランド時代に書かれた作品であることがはっきりと分かります。
冒頭
「Etude.」と書かれていて,Vivaceの速度指定が書かれています。
2,6,10,14,37,41小節目,ベースのA音(ラの音)が単音
1拍目ベース音のA音(ラの音)が単音になっています。
25~26小節目,内声部が重音になっている
右手内声部が重音になっています。
43小節目,内声部が重音になっている
ここも内声部が重音になっています。
47小節目,左手ベース音が違う
左手ベース音がアルペッジョになっています。
音符の長さがバラバラ
内声部や左手伴奏の音価がバラバラで作品全体に統一感がありません。
フランス初版の校正刷りへのショパン自身の書き込み
ショパン直筆の校正が所狭しと丁寧に書き込まれています。
テンポ指定がVivaceからAllegroに変わりました。
メトロノームによるテンポ指定はまだありません。
運指が丁寧に書き込まれています。
その数は約500個!約800個の音符すべてに丁寧に運指が指定されています。
臨時記号の訂正や音符も細部まで訂正されています。
なお,フランス語で音階は「do ré mi fa sol la si」です。
ショパンの筆跡で「fa」と書かれています。
最初から最後までしっかりと校正が行われています。
校正刷りを見ると,いくらなんでも訂正が多すぎないか?と思います。
これだけの数になると校正作業も大変です。
校正漏れも起こります。
ショパンの清書原稿は失われていますが,いつも通り丁寧な原稿だったと想像できます。
ゲラ印刷の段階でもうちょっと注意深く印刷していれば,校正段階での訂正も少なく,最終的に間違いない出版譜になっていただろうに,と思います。
Jozef Linowskiによる写譜
Jozef Linowskiという人物による写譜なので,ショパンの自筆譜ではありませんが,
丁寧に書かれており,ショパンの自筆譜をある程度正確に写し取っていると思われます。
当サイト管理人が子どものころは,ショパンの自筆譜だとされていたもので,
当時の文献にも「ショパンの自筆譜かどうか疑わしい」と書かれています。
ネット上には今でもこの写譜をショパンの自筆譜だとしている情報があります。
ネット上の情報は間違いも多いので気をつけなければなりません。
前述した古いバージョンの自筆譜と内容がよく似ていますが,
古いバージョンの自筆譜よりも最終版であるフランス初版により近い譜面になっています。
Jozef Linowskiの写譜は,前述した古いバージョンの自筆譜よりも後に書かれたものだと考えられます。
Jozef Linowskiの写譜には1830年11月2日のサインが書き遺されており,
これはショパンが祖国ポーランドを旅立った,まさにその日の日付です。
前述した古いバージョンの自筆譜も,Jozef Linowskiの写譜も,ショパンがまだポーランドにいたときに書かれたもの,ということになります。
Op.10-1とOp.10-2はショパンがまだポーランドにいたころに作曲された作品であることが分かります。
古いバージョンの自筆譜も,Jozef Linowskiの写譜も,細部を見ると最終版であるフランス初版と違うところもありますが,最終版に近い形にまで完成されています。
冒頭,速度指示がない
Exercise2と書かれているだけで,テンポ指示は書かれていません。
演奏指示はまったく書かれていない
発想記号や速度指示,強弱記号,アクセント・スラーなどのアーティキュレーションなど演奏指示はまったく書かれていません。
運指もまったく書かれていません。
楽譜を出版するための清書原稿ではなく,個人的な写譜だと思われます。
冒頭のテンポ指定を含めて,演奏指示の書き写しを省略してしまっている可能性もあります。
内声部,左手伴奏の音価がほぼ統一されている
前述した古いバージョンの自筆譜では,内声部や左手伴奏の音価に統一感がありませんでしたが,
Jozef Linowskiの写譜ではほぼ統一されています。
16~18小節目,左手伴奏が異なっている
中間部の最後の部分です。
左手伴奏が最終版とは異なっています。
29小節目,左手ベース音が異なる
29小節目の左手ベース音が最終版とは違っています。
古いバージョンの自筆譜では,この部分は最終版と同じになっています。
この部分だけ見れば,古いバージョンの自筆譜のほうがJozef Linowskiの写譜よりも最終版により近い形になっています。
Jozef Linowskiの写譜は,前述した古いバージョンの自筆譜よりも古い譜面のように思えます。
原典資料が書かれた時系列を決定するのは難しいですね。
作品全体を見れば,Jozef Linowskiの写譜のほうが,古いバージョンの自筆譜よりも,最終版に近い形になっていると思います。
47小節目,左手ベース音が違う
47小節目,最後の左手ベース音が,最終版とは異なりアルペッジョになっています。
古いバージョンの自筆譜と同じ形です。
ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 演奏の注意点
指づかいを守って練習しよう
ショパンの練習曲は芸術作品であるとともに,訓練用教材でもあります。
Op.10-2は単に半音階演奏を習得するための練習曲ではありません。
真摯に課題に取り組むことで,1・2指と3・4・5指が音色的に独立し,ショパンの作品を演奏する上での重要な基礎を身につけることができます。
練習課題が習得でいれば,重音を滑らかに演奏し,叙情的な旋律を繊細に詩情豊かに演奏するために重要な演奏技術の支えとなります。
せっかくOp.10-2に取り組むのでしたら,ショパンからの恩恵を正しく受け取れるように,
ショパンからの演奏指示を守って練習に取り組みましょう。
かなり演奏が難しい作品です。
左手が空いているときは,左手で内声部を弾きたくなります。
しかし,それをやってしまうと正しい技術が身につきません。
半音階のみの分解練習はやめておきましょう
Op.10-2のような難曲に取り組むときは,部分に分けて分解練習するのがセオリーでしょう。
Op.10-2でも左手と右手を別々に練習するのは大変有効です。
しかし,右手の3・4・5指半音階と,1・2指内声部の練習は分けて練習しない方が良いです。
ショパンは右手の1・2指に内声部を担当させることで,手のポジションが正しく保たれるように科学的に作曲しています。
1・2指の内声部を同時に弾くことで,効率的に正しい手の形を身につけることができるようになっています。
3・4・5指の半音階のみを練習すると,正しくない手や指の形になってしまったり,手首や肘が動いてしまったりする可能性が高いです。
正しくないフォームで繰り返し練習をすると,正しくないクセがついてしまい,後から矯正するのが大変になります。
右手を練習するときは,かならず1・2指の内声部と3・4・5指の半音階を一緒に練習するようにしましょう。
レガート奏法
ショパンは作品中にsempre legatoを7回も記譜しています。
Op.10-2の練習課題を正しく身につけるためには,legato奏法が重要になります。
上の譜例は前奏曲Op.23-13の左手伴奏をレガートに演奏する奏法の例です。
レガート奏法というのは,途切れさせずに音をつなげて演奏する奏法です。
ピアノは一度出した音は単調に減衰してしまうため,本来はレガート奏法に不向きな楽器です。
ペダルを使用すれば音は繋がりますが,音の響きが大きく変化します。
ダンパーペダルは音色,音の響きを変化させるための機構です。
音をレガートにするためにペダルを使用するのは避けた方が良いです。
ピアノで音をレガートにつなげるためには,打鍵して音を出したあと鍵盤を押さえたままにし,次の音を打鍵したあとで指を離します。
一度打鍵した音を押さえている時間が長くなれば,それだけレガートになります。
Op.10-2は右手3・4・5指を高速で交互に使用します。
一度打鍵に使った指を,すぐに他の鍵盤の打鍵に使用しなければなりません。
レガートに演奏したくても,押さえていられる時間は大変短いです。
ペダルを用いて誤魔化そうとすると,左手伴奏のスタッカートや内声部の16分音符が表現できません。
ペダルなしで,3・4・5指だけで半音階をレガートに演奏するためには,
ぎりぎり限界まで鍵盤を押さえ続けなければなりません。
単に指を速く動かすだけではない,複雑な難しさがあります。
Op.10-2はlegatoではなくleggieroで演奏すれば随分弾きやすくなります。
プロの演奏でもleggieroになってしまっていることがよくあります。
ショパンが7回もsempre legatoと書いているように,
Op.10-2はlegatoに演奏しなければ正しく練習課題を習得できません。
難易度は高いですが,時間をかけて練習を積みましょう。
中間部ベース音を歌う
中間部の左手ベース音はショパンらしい歌心あふれる旋律になっています。
アーティキュレーションを際立たせるためにペダルを踏みたくなりますが,
そうするとこの部分だけ音の響きが変わってしまいます。
あくまでもノンペダルで左手ベース音を歌い上げましょう。
ショパン 練習曲(エチュード)Op.10-2 実際の演奏
当サイト管理人 林 秀樹の演奏です。2021年5月録音
当サイト管理人,林 秀樹の演奏動画です。
自筆譜や写譜,原典版などをご覧いただきながら演奏を楽しんでいただけるようにしています。
できるだけ原典に忠実な演奏を心がけています。
アマチュアピアニストの演奏なので至らぬ点もたくさんあると思いますがご容赦ください!
*2021年5月録音
◇Op.10-2単独再生
◇Op.10 12曲連続再生
◇Op.25 12曲連続再生
本来,練習曲集は12曲(もしくは24曲)全曲を通して演奏するべきなのですが,
原典に忠実な録音を残すために,1曲ずつ何回も録り直して録音しました。
Op.10-2は普段弾かないこともあり,なんと100回以上も!録りなおしてようやく参考資料にふさわしい録音を残すことができました。
ぜひお聴きいただけければと思います。
演奏動画を録音したときの苦労話はショパンの意図に忠実な参考演奏動画【練習曲集Op.10】をご覧ください。
今回は以上です!